この地球上では、
日々さまざまな対立が起こっています。

国と国との対立、
人種間の対立、
人と人との対立。

対立が起こると、
必ずそこには痛みや恐れ、
憎しみ、
悲しみのような
傷ができます。

実際に赤い血が流れる傷の
場合もありますが、
目には見えない
精神的な傷の場合も。

たとえどちらかが勝ったように思えても、
結局はお互いに傷ついているのです。

ヨガでは
「傷付けない=アヒンサー」
という考えを
とても大切にしているのですが、
どこかで耳にされたことが
あるかもしれませんね。

「非暴力」のことです。

ヨガ的に穏やかに生きていくためには、
日常に起こる対立を
少しでも無くしていく事を
心がけたいですが、
思いもよらないところから
突発的に対立が
生まれてしまうこともあります。

ある日の電車の中、
私の隣に座っていた女性と
その隣の男性の間で
こんなやりとりがありました。

男性「荷物が当たっているので引いてください。」
女性「当たってますか?」
男性「えぇ、当たっています。」
女性「そうですか、それは失礼しました。」

文章にすると、
普通の会話のようですが、
そこには明らかに
二人の激しい怒りの感情が
感じ取れました。

隣で小さな対立が勃発!

ほどなくして、
女性が急に立ち上がって、
さらに語気を荒げながら
「大変失礼しました!」と言い残し、
その場を立ち去っていきました。

残された男性は
イライラが滲み出たようなため息をつき、
周りの乗客は一層気まずい雰囲気に…

こんな小さな対立が生まれるだけでも、
当人のみならず、
周りの人たちまで
嫌な気分になってしまうのです。

楽しかった気持ちは吹き飛び、
心の温もりも消えて、
ささくれのような
小さな傷ができてしまう感じ。

今回は小さな対立でしたが、
日々起こりうる
大小様々な対立を生まないためには、
どうすればいいのか?

色々な方法が
考えられるかと思いますが、
ヨガにはソーハム瞑想
というものがあります。

呼吸に意識を向ける瞑想法。

目を閉じて座り、
吸いながら「ソー」、
吐きながら「ハム」
と心の中で唱えます。

ただそれだけなので、
電車の中でもどこでも出来ます。

「ソーハム」とは
サンスクリット語で、
「ソー」と「アハム」を
結びつけた言葉。

「ソー」は「彼、それ、宇宙」
といった意味で、
自分以外のものを指します。

「アハム」は「私」です。

「ソーハム」で
「彼は私、それは私、宇宙は私」
という意味になります。

この瞑想法を行う時、
自分と周りの境界線が
段々と曖昧になっていくような
イメージを持つといいですね。

自分は自分、
他人は他人というように、
バラバラに感じているから、
対立は起こります。

でも、相手もひっくるめて
全てが自分だと思うことが出来れば、
対立は生まれにくく
なるのではないでしょうか?

なかなか難しいかもしれませんが、
相手も自分と同じ空気を吸って
生きていますし、
同じものを共有しながら
生きています。

自分と相手に
共通性を見つけることができれば、
自分以外に対しても思いやりや
関心を持つことができるはずです。

電車で誰かに荷物を
ぶつけてしまうこともありますし、
ぶつけられることもありますよね。

もちろん違う意見もあって当然ですが、
その存在も認められるような
大らかさを大切に。

誰もがほんの少しだけ
心の余裕を持って生きられるようになると、
ギスギスした摩擦が生まれることなく、
小さな平和が訪れるのです。

大きな対立を
自分一人の力でなくすことは
不可能かもしれませんが、
まずは身の回りの小さな対立を
無くしていくことから。

イラッとしたら「ソーハム」

モヤッとしたら「ソーハム」

心の傷を癒してくれる
おまじないのような言葉。

彼は私、それは私、宇宙は私です。

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柳原 愛

ヨガアライアンス認定 RYT 500 ヨガインストラクター
日本ヨガメディカル協会認定 ヨガセラピスト

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