「AUM、あうん、オーム」
大雨とともに迎えた文月。
雨で散歩に出かけられない分、
読書が進みました。
その中でも面白かったのが、この本。
「生物はなぜ死ぬのか」小林武彦
どのように生命が誕生し、
絶滅していったのか、
様々な生物の生き方と死に方、
そしてなぜ死ぬのかについて、
生物学的見地から説明されています。
専門的なことも平易な言葉で書かれているので、
睡魔に襲われることなく読みやすい。
生き物にとって死とは…
進化、つまり変化と選択を実現するためにあるので、
死ぬことで生物は誕生し、
進化し、
生き残っていくことができたのです。
生き物が生まれるのは偶然ですが、
死ぬのは必然。
死んで壊れないと次ができません。
この本を読んでいて、
ヨガを思い出しました。
ヨガの最後にいつも唱えているマントラ、AUM。
「あ、う、ん」
つなげて「オーム」と発音します。
このAUMは、
創造、維持、破壊を意味します。
Aが創造、Uが維持、Mが破壊。
まさに、生まれ、生きて、死ぬこと。
破壊して、死ぬことで、
また新しく誕生することができるのです。
これはこの本で言うところの
ターンオーバーそのもの。
死は生命の連続性を維持する
原動力なのです。
生物はミラクルが重なってこの地球に誕生し、
多様化し、
絶滅を繰り返して選択され、
進化を遂げ、
その流れの中でこの世に偶然にして、
生まれてきた私たちは、
その奇跡的な命を次の世代へと繋ぐために死ぬのです。
命のタスキを次に委ねて、
利他的に死ぬということ。
出産していない私はその自然の循環からの
はみ出し者のように感じてしまう時があるけれど、
そんな思いは
この本の中のハダカデバネズミが払拭してくれました。
この裸の出っ歯のネズミにシンパシーを感じ、
励まされる日が来るとは思ってもいませんでしたが。
子孫を残す人がいて、
それを支える人がいて、
みんなが自分のできることを淡々と行うことで、
多様性が生まれ、
社会が保たれる。
子孫を残しても、子孫を残せなくても、
それぞれには何かしらの役割があり、
その役割を遂行して死ぬことができる。
私もちゃんと
この生命の流れの中に存在していて良いのだ、
と思わせてくれました。
そして同時に、生まれてきた以上、
私たちは次の世代のために死ななければいけないのです。
でも、やはり、自分という存在を失う恐怖には変わりはないし、
この恐怖から逃れられる方法もありません。
しかし、この恐怖もまた、
ヒトが共感力を身につけ、
集団を大切にし、
他者との繋がりによって生きてきた証なのです。
一見ネガティブに思える死も、
死に対する恐怖もヒトという生物の進化の過程の中で必要なもの。
生まれ、生きて、死ぬ。
死を思うことで
生が鮮やかに浮かび上がってくるようです。
生命全体の大きな流れの中で、
今日も自分ができる小さなことを大切に。
AUM
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柳原 愛
ヨガアライアンス認定 RYT 500 ヨガインストラクター
日本ヨガメディカル協会認定 ヨガセラピスト
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